発酵文化体験で「笑顔の二毛作」

中林正臣です。生まれは、越後川口です。中島屋酒店が実家ですね。川口にいたのは、高校卒業まで。そのあとは、実家の仕事を継ぐために東京の専門学校で情報ビジネスを学びました。
東京を意識してたのは、高校のときからかな。とりあえず東京に出たくて。周りもカリスマ美容師とかファッション雑誌に興味があったから、美容の専門学校とか東京に行く人が多くて。2000年に卒業して、長岡の洋服屋で働いたんですよ。地震が来た2004年の12月に辞めて、それからは今の職場ですね。

<震災を通して生まれたイベント>
家はね、地震で半壊したんです。そのときに、ボランティアの人たちが来てくれるじゃないですか。その人たちがうちにあるお酒をありったけ買ってくれて、テントとだるまストーブだけ用意して、一夜限りの居酒屋みたいなのをやってくれたんですよね。震災でギスギスしてる中で、大人たちが楽しそうにお酒飲んでる姿が印象的だった。大変な中でも、ひと時でも忘れられる時間っていいんだな、って。
ただ、家を片付けてもらってありがたいけど、こっちから感謝することはないでしょ。協賛を募って、お酒を提供してもらったり、鮎を焼いて振る舞ったり、みんなに相談したら何とかなるもんだなと思って動いた。一晩限りでやったんです。無料でも良かったんですけど、参加費を川口のために寄付しようと思って。すげぇ楽しかったです。みんなで歌を歌ったり。思えば、自分が企画した最初のイベントですね。

<お酒の美味しさ>
働きながら、実家の酒屋も何か考えなきゃいけないっていうのは、年が経つたびにずっと強くはなっていて。お酒の勉強しなきゃいけない、でもどうやったらいいのか分からないってモヤモヤしてた。

長岡の三島にある和創良酒の会、このナイスな会に叔父さんに連れてってもらったのは、4年前。大吟醸の吊るしっていう一番いいところから参加したんですよね。そのときにもらった出来立てのお酒がものすごい美味しかった。それまでは嫌々というか、知識だけぶち込んで美味しいかどうかも分からずに飲んでたけど、この新酒ができる体験をしたらどうやって作ってるのか興味湧くじゃないですか。だから、次の年は田植えから参加ですよね、ははは。そこがターニングポイントですね。


<関わったみんなが笑顔になれる酒づくり>
大人はお酒を楽しんで、子どもたちは田植え体験を楽しめるすごい良い会。お酒って大人が楽しむものだとばっかり思ってたんですけど、そこに至るまでには色んな人の手が加わってるわけで。結局大人が楽しむ飲み物だけど、子どもたちも手伝える体験はすごいことだと思うんですよね。子どもたちが泥んこになったり、足が抜けなくなってパンツが茶色くなるみたいな光景を見て、大人は喜ぶじゃないですか。それが酒のつまみだと思ってる。
さんビズの講座でも言ったけど、「笑顔の二毛作」ですよ。子どもが笑うことで大人が笑うから、より笑顔が増えていく。飲むだけじゃなくて体験することによって親と子どもが一緒の時間を共有できるのは、良いことだと思うんですよね。パパお酒飲んでって言うかも知れないけど、一緒に作ったお酒じゃんって答えれば多分嫌な顔しないだろうし。

<さんビズからもらった気付きときっかけ>
さんビズを最初に知ったのは、2018年のお盆。そのときはさんビズって何?でしたね。3万円のお小遣いが入ってくればいいじゃん、って。まさにそれで入りまして。でも、何かをしたいのはあったんですよね。子どもとお酒をどうつないでいいか考え方も分からなかったから、何かきっかけ、ヒントがもらえればいいなと思って。

さんビズを受ける前と後で、方向性は変わってないですね。ただ、新たにプラスしてもらった。さんビズの発表会でお酒は出せないけど、発酵食ならどうだってアドバイスはもらったし。じゃあ、手っ取り早く作れる醤油にしようと思ってパッと動いて、パッと周りの知人が話に乗ってきてくれたっていうのは、さんビズで気付きがなければそこまで至らなかった。動き出せば何とかなるんだな、ってほんとに思いましたよね。榎本さんと発酵食品つながりでチョコレートと日本酒のイベントをやることも、想像できなかったんで。

<お酒が主役にならなくてもいい>
お酒が主役じゃないとダメっていうのにこだわりすぎてましたね。発酵ってくくりにすれば、色んなものを持ってきていいわけじゃないですか。お酒しか使っちゃいけないんだとか、自分で範囲を狭めちゃってたから、色々できる幅は広がってきたな。さんビズのテーマに醤油を選んだのも、発酵の文化に話を振っていった方が取っつきやすくなるから。最終的にはね、お酒好きになってもらえば一番いいですけど。
実家の酒屋のあり方としては、量販店じゃ置いてないものとか、情報交換がうまくできる場であればなお良いなと思っていて。だから、酒屋の隣に小っちゃい4畳くらいのスペースで、立ち飲みの角打ちができれば一番いいんですよね。電車から降りて、帰り道に一杯だけ飲んで帰るとか。地元の喫茶店と提携したスイーツや蕎麦とかの地域のおつまみを提供したりできたらいいかな。

<発酵文化を次世代に伝えたい>
醤油とか味噌とか川口にある発酵文化を使って、日本酒とうまく組み合わせてイベントができればいいなっていうのはある。でも、親子で体験してもらわないと意味がない。結局伝えていかないといけないので、子どもたちに。情報じゃなくて、体験したことに価値がある。それを親子でできるような場を設けていきたいなって思いますよね。
この間やった醤油のワークショップは大人しか来てないんで、子どもたちの反応が分かんないんですけど、周りに紹介すると、今度子ども連れていきたいなとか、そういうのが増えている。自分のさんビズの魅力ですか?そこまで聞けてないですね。ただ、お酒好きが集まって川口のお寿司屋さんでイベントをやったときは、川口って何かなければ来ないけど、電車でぷらっと飲みに来て、楽しい思いができた、色んな飲み方があったり、知らない場所にいいお寿司屋さんがあったっていうのは貴重な体験だったから、また友達を連れて来たいです、って言ってくれて。だから、まだまだ川口で何かできることがあるんじゃないかなとは思う。


<自分の持ち味をさんビズで出してみる>
何でこういうことが出来てるんですか、すんなり行ったんですか、って聞かれたときに、失敗談がいっぱいあった方が、ここに至るまでにはこうだったんだよっていう話ができる。
さんビズに言えることもそうなんじゃないですかね。とりあえずやってみて、色々失敗をやってるうちに新しい何かができるだろうし。俺なんて無能だって思ってましたけど、困ってれば助けられることもある。いっぱい手持ちがあれば、わたしこれだけあるんですけど、って。その一歩がさんビズなんじゃないかなとは思うんですけど。さんビズって、それを出す場というか、出せる場というか。何が持ち味か分かんないから、なかなか出せないですもんね。思ってても恥ずかしいとか否定されるんじゃないかとか。
その持ち味を持ち寄って一緒にやれば、新たなジャンルになるわけじゃないですか。その輪がつながって、自分はできないけどこの人に頼めば色々何かやってくれる、イベントできるって思えれば楽しいっすよね。

※この記事は、「聞き書き」の手法によって作成しました。
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